ジュリアン・アルタベール/Julien Altaber

新たなブルゴーニュスタイルにトライ!

ジュリアンワールドはお楽しみがいっぱい!

オーベルニュで生まれ、家族とのバカンスはいつもトラクターの音に囲まれ、牛舎で遊ぶような環境で過ごしたジュリアンはブルゴーニュ南部のマコンで育ちました。オーベルニュでのバカンスや周りの環境もあってか、中学を終える頃には農業をしたいと思うようになったといいます。

マコンに住んでいた事もあって、自然にワイン造りの方向に向かった彼は、16歳で始めての研修で農家でのワイン造りを経験します。結果は「ブラボー!」収穫も、醸造も、ワイン作りの何もかもが楽しくて仕方なかったのです!

その後、ボジョレやマコンの何カ所かでの研修を経験し、2000年には専門課程でボーヌの大きなネゴシアンで2年を過ごしました。そしていろいろな経験をした結果、自分のやりたいことは家族経営のような小さな農家でナチュラルなワインを造ることだと気づいたのでした。

そして2002年、運命の時がやってきました。サン・トーバンのドミニク・ドゥランのもとで収穫をすうことになったのです。そこで自身のベースにあった農家本来の姿を再発見します。仕事が楽しくて仕方が無い、情熱いっぱいで働く人たち。「これだ!」と直感し、その日からドミニクのもとで働く事に。

ドミニクの畑やカーヴでは様々な経験を積みました。畑仕事はもちろん、ディナミゼの為のプレパラシオンを造る作業をしたり、学校で学んだ近代的醸造テクニックとは全く違う自然な醸造の結果に感動したり、時には試飲会や訪問客とワイン談義をしたり。みんなで働き、喜びを分かち合うことの素晴らしさを知りました。

そんな中、自分自身のワインを造ってみたいという気持ちがわいてきました。ドミニクも「良いぶどうを買って、自分のワインを造ってみたら?」と背中を押してくれました。2007年のことでした。目指す方向を見失わないようにと六分儀=SEXTANT(セクスタン)をブランド名に。もちろん、器具や機械、醸造場所も何もかもをドミニクに借りてのスタートでした。

その後もドミニクのワイン造りのかたわら、自分のワインも少しずつ造り続け、2010年には初めての畑を入手、2013年にはサントーバンに小さなカーヴとポマールに2つの畑を、そして2015年には0.5ヘクタールの植え付けも実現しました。

2017年、38歳になったジュリアンは会社を設立します。師匠のドミニクのドミニクブランド、ジュリアンのセクスタンブランドを総合してリリース、全てをジュリアンが指揮を執っていくという、新しい世代の新スタイルです。ドミニクは監修を担当する相談役、といったところでしょうか。

畑では・・・

畑では除草剤や化学肥料などは一切使わず、きちんと手をかけてぶどう達が望むことをするという姿勢で作業をしています。「ぶどうの声を聞いて作業をする」というドミニクの教えを守っているのでしょうか。トラクターを使わず、馬で耕作することで土壌を押し固めること無く、健全な土を作り、自然酵母をはじめとする生物環境を整えるように努めています。500番や501番などビオディナミのプレパラシオンを捲き、ぶどう樹ができるだけ自身のパフォーマンスを上げられるよう手助けをするのです。

カーヴでは・・・

「ワイン造りは毎年状況が違うので、経験や出会いを通して的確な判断をすることが大切なんだ」というジュリアン。カーヴでは新樽は使わず、醸造・熟成の間は何も添加しません。ぶどうを信頼して、ひたすら待つのだといいます。

白ワインはダイレクトにプレス、果汁を木製キューヴに入れ、24~36時間おいて固形物が沈殿するのを待ちます。それを228Lの樽に入れ、発酵させます。その期間はワインや年によって15日からなんと1年もかかることも。冬が寒いブルゴーニュでは、年によっては寒くなると発酵が止まり、春にまた始まるという事もあるのです。自然を重んじる造りだからこその大変さなのですね。発酵が終わると澱の上で6ヶ月から1年熟成させ、スーティラージュ、1ヶ月おいてアッサンブラージュ、が一般的な造りになります。もちろん、ジュリアンの事です、例外はたくさん!

赤ワインはぶどうの状態によって20~50%除梗、木製キューヴに入れ10~15日置きます。その間、足でキューブの中のぶどうを踏むピアージュを2~3回。その後、昔ながらの縦式搾り機で24時間かけてゆっくり圧搾、果汁を樽に入れて発酵、熟成と進みます。

「ワインは懇親性や友情、楽しい時間の為の飲み物。僕たちはグランヴァンを目指すのでは無く、正直で飲み心地の良いワインを造りたいんだよ」

従来のスタイルのブルゴーニュワインだけで無く、他の地域からぶどうを買って混ぜたり、スタッフのニックネームをつけたワインと造ったりとユニークで新しいスタイルのワイン造りにもトライするジュリアン。伝統を守るドミニクのワインとその教えを守りつつ、ジュリアンスタイルも確立させていこうと頑張る彼のこれからの活躍に、ますます目が離せなくなりました!